17426人が本棚に入れています
本棚に追加
最後に、南の大きな島、北の諸島の話。
南の大きな島は、聖地ムーン・シナと言う。
ここはこの世界でもっともポピュラーな宗教、サーヴェ教で神として崇められる、聖人ルナ・サーヴェが生まれた地とされ、特に神国からの巡礼者が毎日何万人と来るらしい。
中央のルナ・タウンには、彼を象る全長5メートルもある銅像が建てられていると言う。
最後に、北の諸島の話だが、そこはユダ列島と言うとのこと。
圧倒的高緯度にあるために常に気温は-100℃を下回るため、誰も人は住んでいない、と言われる。
では、どういう使用意義があるのか。
犯罪者の流刑地、らしい。
この世界では、死刑よりも重い罪として、このユダ列島への流刑がある。
誰も調べたことはないが、奥の方には見たこともない怪物や、金銀財宝が眠っているという話が、ほとんど都市伝説化して言い伝えられている、とまあ………
「こんなもんじゃのう」
「いや、普通になげぇよ」
「でも、知識はあるに越したことはないですよね?」
「そーですね」
奏の冷ややかな目を避けつつ、蒼は幼女神様の方に向き直る。
「んで?まだ話すことあるんでないの?」
「むー、そうじゃのう………」
腕を組み、深く考える。
しばらく後、おお、そうじゃ、と言ってから、彼女は言った。
「わしの自己紹介がまだじゃったの」
「このタイミングでそれかよ」
「ある意味KYですね」
「………主らは思ってることを素直に表現しすぎじゃ」
最初のコメントを投稿しよう!