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「主人公体質(オヒトヨシ)、か。いやぁ、それはずいぶんと主人公体質(オモシロイ)じゃないか。実に羨ましいよ、うん。でもここに来てるってことはそのことでずいぶんと主人公して(ナヤンデ)るみたいだね。液晶越しの世界じゃあるいは幸せは約束されてそうだけど、この世界じゃ常識や一般的概念が邪魔するからねぇ、わかるわかる。つまり君は人に主人公で(ヤサシク)ありたいのに……、ってことか。ふふふ、主人公(セイシュン)だねぇ。あ、ごめんごめん。君は真剣だったね。ついつい茶化すのは僕の悪い癖だ。ま、でも今日もこの僕が言えることは無いよ。そうやって悩みながら、苦しみながら、無為に日々を過ごすのが主人公(キミ)の物語なんだよ。
な ん て ね 。
さ、そろそろ全て忘れる時間だ。久々に逢えて愉しかったよ。
……、最後だから言うけど、こんな僕だって、君のことをいつも想ってるんだぜ、なんて。
またね、僕の愛し君。
……、ちょっと主人公(ハズカシイ)だったかな。」
今日もきっと、
それは信号が赤から青に変わるように、
当たり前の朝が来るのだ。
ほら、僕を起こす声が聴こえる。
おやすみ、愛し君。
「うわぁ、お兄ちゃん、こんなマニアックな本読むんだ……。」
「馬鹿なっ!あれは中学の卒業アルバムカバーの中に二重カムフラージュまでして隠してあったはずっ!」
……………………。
「お兄ちゃん、おはよう。」
悪魔の笑顔をした小悪魔がそこにいた。
かくしてこの日の朝、僕は妹にエロ本の隠し場所がバレてしまったのだ。
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