お人好し男子 弌!

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お人好し男子 弌!

突然だか僕には彼女がいる。 物語の始めからこんな自慢話みたいなことをしていては一体何人の僕が爆発しないといけないかわからない、が言わせて欲しい。 彼女の名前は三咲一実(ミサキヒトミ)。 僕がお人好し男子なら、 彼女はお人好し女子、 『だったのだろう。』 かって彼女は人という人を愛した。 あらゆる人の幸せを願った。 熱愛的に。 狂愛的に。 しかし傍からすればそれは歪な愛だった。 いや、愛ですらなかった。 皆は彼女を恐れた。彼女の愛を怖れた。 人好きだった彼女の周りから、人が、消えた。 その結果。 彼女の愛は、『歪んだ』 みんながおかしくなった。 みんなが壊れた。 『みんな……、みんな歪んじゃったよぅ……。』 ………………。 「ヒロぉー!今日も一緒に学校ぉ行こっ!」 朝っぱらから恒例のラブコールが聞こえる。 僕を"ヒロ"と呼ぶのは一実しかいない。 いつもの行事に両親はもう見向きもしなくなっていた。 ただ妹はこちらも恒例、いつものいやらしい目配りである。 ……嫌みなやつめ。 「お兄ちゃんは妹想いだから言ってやるが、僕に色目を使うと命が危険にさらされるぞ。」 「ごちゅーこくありがと、大好きなお兄ちゃん(棒読み)。ほら、彼女を待たせてるよ。」 ち、可愛い妹め。 僕はいつものように家を出る。 戸を開ければそこに満面の笑み。 僕の……、大好きな彼女。 「あ、ヒロおはよっ!」 何度朝を迎えても、この瞬間は主人公も悪くないと思ってしまうなぁ。 なんて自嘲的な笑みを僕は彼女に返すのだった。
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