裏切り?

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「おはよー。」 校門の前のバス停で、彼女達の先輩―高濱裕也と宮原孝之が合流する。 「あ、その…おはようござい、ます。」 頬が熱くなり、明らかに紅くなっているとわかる。 その顔を見られたくなくて、俯く。 「恥ずかしがるなよ、眞弓。」 裕也が優しく話かけて来る。 だが、やはり恥ずかしくて顔をあげられない。 「宮さんは今日どうなんですか?」 「うるせぇな…」 美空は、眞弓を気遣って宮原と話している。 その小さな優しさは嬉しいが、素直に喜べない。 「ゆ、裕先輩はどうなんですか?今日…」 やっとのことで声をかけるが、ありきたりなことしか話せず、また頬が熱くなる。 「知らねぇな、俺は。」 裕也は素っ気ない答えを返してくる。 いつもと変わらぬ態度に、逆に安心する。 ―――私に気はなくても、それでいいかな… そんな思いに苛(サイナ)まれる毎日に、それでも満足していた。 裕也といられるなら、満足だった。
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