8人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後。
朝に戦争を終えたクラスメイト達は、それぞれの相方と共に職員室へ再テストに向かう。
眞弓は鞄に道具をしまい、美空に声をかける。
「美空、今日は一緒に帰る?」
だが、美空は、
「私、今日は一人で帰るよ。じゃあね!」
と言い、妙にいそいそと教室を出ていった。
予想していた、というより期待していた答えに、少し嬉しくなる。
―――私だって、関係ない訳じゃないからね。
チョコを渡したい相手くらい、眞弓にだっている。
憧れの裕先輩に渡したい。
この思いは、変わらない。
少しうきうきとして、教室を出る。
手には大事に鞄を抱えて。
中には、手作りのチョコレートが入っている。
今日、この日のためにインターネットでレシピを探し、昨日も徹夜して作った。
校則で禁じられた化粧で隠してはいるが、目の下には濃いくまができていた。
この苦労の痕を、美空にも、裕也にも見てほしくなかった。
だから、わざわざ校則を破ってまで隠して来たのだ。
失敗するわけには、いかない。
最初のコメントを投稿しよう!