~ブラフ~

1/1
前へ
/10ページ
次へ

~ブラフ~

いきなり、そんなこと言って大丈夫なんだろうかと思ったけど、 ここは本職の刑事に任せたほうが良いだろう。 「私が…、黒澤刑事を襲った犯人だと言いたいんですか?」 「そう思われたくなければ、お話を聞かせてください。 事件当時、あなたはどこで何を…?」 黒澤の相棒として行動していただけあり、武藤は凄い迫力で彼女に迫る。 「…家で1人で過ごしてましたが?」 「それを証明出来る方はいますか?」 「あなた…、人の話を聞いてた!? 私は1人で家にいたの!!証明出来る人間がいると思う!?」 …多分、彼女が犯人で間違いないだろう。 ここまでセオリー通りの質問で激昂するのは、何かしらの非がある証拠…。 「では、家で1人で何をなさってたんでしょうか?」 「私が!!私の家で何しようと勝手でしょう!!」 「人が襲われています、勝手では済まないんですよ。」 恐らく、武藤も彼女が犯人だと確信しているに違いない。 でなければ、ここまで挑発的に質問を浴びせたりしないだろう。 「ここは私の家よ!!裸で寝てようが自慰してようが私の勝手!! あんたたちに教える必要は無い!!さっさと帰って!!」 「事件当時、あなたの部屋を訪れた人がいるそうです。 しかし、留守のようだったのでこの日は帰ったと話しています。」 成程…、墓穴を掘らせるための“ブラフ”か…、うまいな。 「馬鹿じゃないの!?私はこの部屋にいたのよ!? 誰かが訪ねて来たら、すぐに気付くに決まってる!! 適当なこと言って、私を犯人に仕立て上げようってんでしょう!? 言ってみなさいよ!!誰がここを訪ねてきたって!?」 気付いてない、もう1つの“ブラフ”に…、このまま行けば、もしかしたら…!! 「…誰だと思います?」 「知るわけ無いでしょ!?私が犯人だって言うなら、証拠を持ってきなさい!! 私が、黒澤刑事を刺したって証拠を!!」 「…!!いいでしょう、榎本さん…、お願いします。」 私は、鞄から携帯を取り出し、彼女に突きつける…。 「…何のつもり?それが一体何だっていうのよ?」 「これが…、あなたが犯人である証拠です。」 了
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加