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~ブラフ~
いきなり、そんなこと言って大丈夫なんだろうかと思ったけど、
ここは本職の刑事に任せたほうが良いだろう。
「私が…、黒澤刑事を襲った犯人だと言いたいんですか?」
「そう思われたくなければ、お話を聞かせてください。
事件当時、あなたはどこで何を…?」
黒澤の相棒として行動していただけあり、武藤は凄い迫力で彼女に迫る。
「…家で1人で過ごしてましたが?」
「それを証明出来る方はいますか?」
「あなた…、人の話を聞いてた!?
私は1人で家にいたの!!証明出来る人間がいると思う!?」
…多分、彼女が犯人で間違いないだろう。
ここまでセオリー通りの質問で激昂するのは、何かしらの非がある証拠…。
「では、家で1人で何をなさってたんでしょうか?」
「私が!!私の家で何しようと勝手でしょう!!」
「人が襲われています、勝手では済まないんですよ。」
恐らく、武藤も彼女が犯人だと確信しているに違いない。
でなければ、ここまで挑発的に質問を浴びせたりしないだろう。
「ここは私の家よ!!裸で寝てようが自慰してようが私の勝手!!
あんたたちに教える必要は無い!!さっさと帰って!!」
「事件当時、あなたの部屋を訪れた人がいるそうです。
しかし、留守のようだったのでこの日は帰ったと話しています。」
成程…、墓穴を掘らせるための“ブラフ”か…、うまいな。
「馬鹿じゃないの!?私はこの部屋にいたのよ!?
誰かが訪ねて来たら、すぐに気付くに決まってる!!
適当なこと言って、私を犯人に仕立て上げようってんでしょう!?
言ってみなさいよ!!誰がここを訪ねてきたって!?」
気付いてない、もう1つの“ブラフ”に…、このまま行けば、もしかしたら…!!
「…誰だと思います?」
「知るわけ無いでしょ!?私が犯人だって言うなら、証拠を持ってきなさい!!
私が、黒澤刑事を刺したって証拠を!!」
「…!!いいでしょう、榎本さん…、お願いします。」
私は、鞄から携帯を取り出し、彼女に突きつける…。
「…何のつもり?それが一体何だっていうのよ?」
「これが…、あなたが犯人である証拠です。」
了
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