真っ白な花

11/35
前へ
/163ページ
次へ
       † 「ここを開けばいいんだけど……なぁ。」 屋上へと続く道の前、僕はぶつぶつ呟きながら立ち止まっていた。 考えようとする気力も、だんだんとだが湧いてくる。 得体の知れないもの……そう、それが僕の頭の中に直接話しかけてきたのだ。 そんな危険な状況で、応えてしまっていた自分が愚めかしい。 「どうしよう……吉と出るか、凶と出るか。」 退屈に生きるのをやめられるのなら、おかなしな人生も悪くはない。 一か八か、勝負っ! ――僕は未来を変える扉を、ノックもせずに、開く。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加