真っ白な花

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こんな白い吸血鬼がいて、一体誰がコスプレだと思わない? 初めてコスプレだと言われた、みたいなこと言っていた……。 まさか。それは僕にしか会っていないからではないのかなぁ。 「本当に、本当に君は吸血鬼なの?」 「はい、純血の吸血鬼です。周りからは純血は純血でも、清らかな方の純潔だ、って言われてきましたが……。」 うん、周りの方々は間違ってはいないよね。 本当に口調から仕草まで、本当に清楚って感じがするし。 なにより、恰好が……ねぇ? 「この恰好だって……わたくしの母の形見なのです。だから、絶対にこれ以外着たくなくって……。」 形見――そう言われると、何だか笑えなくなってきた。 というか、吸血鬼にも、死ってあるのか。 「吸血鬼にも、死ぬことがあるの?」 「ええ、人間が勝手にわたくし達をどう考えたのかは分かりませんが、わたくし達は不死身ではありません。」
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