真っ白な花

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「先程の死ぬ原因……八割は醜い争いなんですが、一割九分は人間の罠によるものです。例えば神社の結界に触れて灰にもならず消滅――とか。」 「……それも、人間の勝手な都合なんだよね。あれ、じゃあ残りの一分はなんなの?」 九割九分の理由は今ので分かった。 でも、あと一分だけ残ってる。 「残りの一分。それは……人間に血を吸われることです。」 「に、人間に?」 「はい。普段から人間の血を吸っているわたくし達の血には、その吸われた人間たちの生命の欠片が詰まっています。それを逆に人間が吸えば、たちまちどんな病をも治せる特効薬となるのです。」 それって凄いな……。 がめつい人がこのことを知ったりしたら、吸血鬼の乱獲が始まりそうだ。 でも、吸われて――死ぬの? 「そして、吸われてしまった吸血鬼は、同じく灰となっていくらしいのです。」 「一度きりの奇跡――みたいなものなんだね。」 「それは、確かに間違ってはいません。ですが、わたくしたちが人間に吸わせるはずがない、絶対に人間が無理矢理吸ったんだ……。」
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