37人が本棚に入れています
本棚に追加
†
「ん……んぁあ。」
眩しい。
部屋にある窓から射し込む目映い光が、まだ覚めていない僕の目を、否応なしに覚まさせる。
とりあえず起きてみると、それは意外と、なんとも心地の良い朝だった。
ベッドのシーツのシワを、意味もなく伸ばしたりした。
本の少しの動きで、新しいシワが出来上がる。
まるで、昔の昔に泳いだ、いつかの海の波のようだと、僕には思えた。
僕はボク。
名前は――ある。けれど、この呼ばれ方の方が好きだ。
みんなからも、僕はボクと呼ばれてい“た”。
みんな……学校で友達だった人たち。それらはもう、僕の周りにはいない。
田舎住まいの僕はたった一人、季節の移り変わりと共に、居場所も移り変えた。
それがここ、都立桜木病院。
真新しい外観と医者の腕も良しとのことで、口コミで話題となったこともある、実力ある病院だった。
最初のコメントを投稿しよう!