真っ白な花

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       † 「ん……んぁあ。」 眩しい。 部屋にある窓から射し込む目映い光が、まだ覚めていない僕の目を、否応なしに覚まさせる。 とりあえず起きてみると、それは意外と、なんとも心地の良い朝だった。 ベッドのシーツのシワを、意味もなく伸ばしたりした。 本の少しの動きで、新しいシワが出来上がる。 まるで、昔の昔に泳いだ、いつかの海の波のようだと、僕には思えた。 僕はボク。 名前は――ある。けれど、この呼ばれ方の方が好きだ。 みんなからも、僕はボクと呼ばれてい“た”。 みんな……学校で友達だった人たち。それらはもう、僕の周りにはいない。 田舎住まいの僕はたった一人、季節の移り変わりと共に、居場所も移り変えた。 それがここ、都立桜木病院。 真新しい外観と医者の腕も良しとのことで、口コミで話題となったこともある、実力ある病院だった。
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