真っ白な花

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       † 「ごちそうさまでした。」 「あら、今食べ終わったの? 本当、ずいぶんゆっくり食べていたのねー……ふわぁ、眠いわぁ……。」 ちょうど食器を片付けに来ていた吉森さんは、重たそうなその瞼を何とか持ち上げながら、欠伸をしていた。 欠伸をしたのなら、瞼を持ち上げる意味はなかったんじゃ? と思ったりする。 「……やっぱり、看護師の仕事って、大変なんですか?」 「うん、最近は特に……貧血で運ばれてくる人が昼夜問わず、連日多いのよねー。」 「集団貧血……新手の病原菌かなんかでしょうかね?」 少し疑問が残るから、聞いてみた。 こういう話をするのも良い。そうしていると、退屈が解消されていくから。 「それがね……本当に血が少なくなってるのよ。巷では、“吸血鬼の仕業”って騒がれちゃってるし……。」 「吸血鬼って……、いるなら合ってみたいな……退屈しのぎ程度に。」
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