37人が本棚に入れています
本棚に追加
†
「ごちそうさまでした。」
「あら、今食べ終わったの? 本当、ずいぶんゆっくり食べていたのねー……ふわぁ、眠いわぁ……。」
ちょうど食器を片付けに来ていた吉森さんは、重たそうなその瞼を何とか持ち上げながら、欠伸をしていた。
欠伸をしたのなら、瞼を持ち上げる意味はなかったんじゃ?
と思ったりする。
「……やっぱり、看護師の仕事って、大変なんですか?」
「うん、最近は特に……貧血で運ばれてくる人が昼夜問わず、連日多いのよねー。」
「集団貧血……新手の病原菌かなんかでしょうかね?」
少し疑問が残るから、聞いてみた。
こういう話をするのも良い。そうしていると、退屈が解消されていくから。
「それがね……本当に血が少なくなってるのよ。巷では、“吸血鬼の仕業”って騒がれちゃってるし……。」
「吸血鬼って……、いるなら合ってみたいな……退屈しのぎ程度に。」
最初のコメントを投稿しよう!