真っ白な花

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「そんなに軽そうに思ってちゃダーメ。案外本物だったりするかもしれないのよ? だって、首筋に噛みつかれたような跡がついてたのよ。」 何だか俄然興味が湧いてきた。 やっぱ会ってみたいかも……。 とか言ったって。 まぁ、そんなものはどうせ迷信に決まってたりする。 天使だとか悪魔だとか……そんなものを信じていられるか。 本当にいるのなら、どうか僕を救ってくれよ。 でも、噛みつかれたような跡が残っていた――? 「どうせそれも、人が噛みついただけの、吸血鬼を真似た模倣犯かもしれませんよ?」 「えぇっ、でも刺さった跡が、ちょうど牙が刺さったような形をしているし……。」 「じゃあその型を作って歯にはめちゃえばいいんです。確かに血が減るかと言えば、少量なんですけどね。」 かといって、今時吸血鬼なんかがいるわけない……。 たって、ヴァンパイアだろ? そんなの、中世ヨーロッパじゃないか。
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