《時雨 凛央》シグレ リオ
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残された通帳には、僅かな数字が並んでいるのみ。 いつものように電車に乗ることもせず、無意識に歩くうちに、風景は見覚えのない場所に変わっていた。 体が重い。 息するのがしんどい。 「…帰ろ」 (―――って、何処に…?) 不安を口に出すことは出来ず、心の中で自嘲する。 早々と太陽が身を隠す秋空を、建ち並ぶビルの隙間から眺めた。
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