第一話

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ふらふらしながら家について、私は制服を脱ぐ。 棚にあるのは少年漫画と少女漫画。 学校を卒業しても漫画を読むのは大好きで、色気なんてどっかに置き忘れてきた。 いつの間にか年をとって、恋愛経験を人並みに積み重ねて、そしてめでたく結婚なんて。 今の状況じゃ想像なんて出来ない。 「仕事変えたい。・・・っていうか、全部変えたいよ」 仕事を始めてもう三ヶ月。 いや、この場合は「まだ」三ヶ月? だけどもう何もしたくない。学生時代に戻りたい。 携帯電話を取り出して誰かに愚痴でも、と思ったところで私はそれをしまう。 誰かにこんな弱音を吐いたら「もう?」なんて言われるのは想像がつくし、何より大人じゃない。 だって大人ってさ、何でも自分で解決出来るちゃんとした人なんでしょ? 泣き言も言わずに悩みだって何とか出来て、自分の思う通りに暮らせているんだよね? でも、じゃあ、何で。 何で私はこんなに悶々としてるんだろう。 「考えるの面倒臭い・・・でも考えないと始まんないし、でも考えるの面倒臭い」 私はラフな格好に着替えると、ベットへ横になる。 枕元にあるのはNARUTOの最新刊。 忍びになんかはなれないけど、もっとちゃんとした人になる予定だった。
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