第二章

3/12
前へ
/35ページ
次へ
  さて、話は入学式終了後に飛ぶが……、いや、一応入学式についても一言だけ述べておこう。 簡潔に言うと、苦痛。それに尽きた。 だから入学式のことなんか思い出したくもないわけで……、まあ、着席しているときに痛いほどまじまじと感じた周りからの好奇の眼差しと、時折聞こえる俺の噂話をしているであろうひそひそ声だけなら、予想の範疇だったからまだいい。 だが、まさか前に呼び出されてラジアルさんからわざわざ全校生徒に紹介されるなんて思ってもみなかった。 俺が震える声で拙い自己紹介をしたときの、生徒たちの憫笑の眼差しは今でも忘れられない。 いわゆる公開処刑に処せられた俺は、それ以降はずっと下を向いて閉式をひたすら待ち続けた。 先ほどよりも痛く突き刺さる生徒たちの眼差しとひそひそ声にひたすら耐える時間は、もはや永遠に続く拷問のように感じられた。 そしてついに長い長い式も終わり、やっと解放された俺は、物品購入等をさっさと済ませ、逃げるように寮に戻った。 途中でラジアルさんか誰かに呼び止められたような気もしたが、それどころではないほどに俺はトラウマのせいで錯乱していた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加