第二章

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  「まあ、俺があんな人間に染まらなかったのも、クロアと似たような境遇だったからかな。と言っても、俺はクロアよりは充分マシだったけどね。」 そう言うと、セレスはゆっくりと歩き始めた。 俺も小走りで追い付く。 「なるほど……。だけど、セレスが俺と普通に話してるのを他のクラスメートが見たら、セレスも俺と同じような扱いを受けるんじゃないのか?」 俺が最も恐れる事態はそれだ。 俺のせいでセレスにまで迷惑がかかるのはあんまりだ。 しかし、セレスは明るく返してくれた。 「気にしなくていいよ。クロアはただでさえ嫌な思いをしてるんだし。」 「いや、でも……」 「それに、俺もこれを機にああいう連中とは手を切ろうと思ってるんだよね。たいていが自尊心の塊みたいな人間だからな。」 「そうか……。それならいいんだけど……。」 「大丈夫だって。気にすんなよ。それより、教室着いたぞ。」 重い足取りでセレスについていっていたら、気付けば教室の前に着いていた。 廊下は外装の豪華さに劣らず高級感が溢れていたが、それはどうやら教室も同じようだった。 しかし、まだ早い時間だからか、教室も廊下も水を打ったように静かで、俺たちの声と足音だけがやけに響いた。
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