第二章

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  豪華絢爛という言葉にこれほどぴったりな状況は今までになかったと思う。 城下町を見て回っただけでも都会のいろんな意味での凄さに驚きっぱなしだったのに、入学式を前にした魔導学校の賑わいときたらそれをはるかに上回るものがあった。 学校の大きさにしろ、人の多さにしろ、田舎育ちの俺を驚嘆させるのには充分だった。 異例の転入生の親となれば、奇異の目や卑下の目で見られるのは目に見えていたので両親には来ないようにしてもらったのだが、これなら両親も連れてくるべきだったと今さらながら後悔した。 だが、感慨や後悔などという雑念に浸る暇もなく、俺は人の脈流に呑まれて、流されるままに会場となる講堂に入った。 ラジアルさんは教頭なので朝早くから会場に入っており、家族も来ていないため、俺は単身で、初めてづくしの魔導学校に乗り込んだわけだ。 新調の制服を着て、慣れない雑踏に身を置く俺は、もはや入試以上に緊張と不安に満ちていた。 周りはいかにもエリートらしい、同年代とは思えないほどつんとすました学生達ばかりで、なおさら居心地が悪かった。
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