第二章

4/12
前へ
/35ページ
次へ
  次の日。 寮は幸いにして個室だったので、前日はあれ以降一歩も外に出ずに過ごしたが、さすがに今日は学校へ行かないといけない。 できるだけ同級生と顔を合わせたくなかった俺は、どうせ眠れずに早く起きてしまったので、まだ薄暗い早朝から学校に行くことにした。 本当に、人を避けるという悪あがきでもしたくなるほどに傷は深かったのだ。 ちなみに、隣や向かいの部屋の人にはもちろん挨拶などしていないので、俺がここにいることを知るのは、入学式の前日と入学式の終了後に俺の部屋の前の廊下で会った数人だけだ。 その人たちも例によって物珍しげに俺をちらちら見てきたのであまり良い印象を受けなかった。 まったく、魔導学校は人格形成という観点においては国で最下位なんじゃないかと切に思う。 まあ、昨晩冷静になって考えてみると、俺の先入観と思い違いが過ぎた結果なんじゃないかとも思えてきたのも事実だが。 しかし結局、部屋を出たときに運悪く鉢合わせた女子生徒があからさまに俺から目をそらしたので、そんな考えも吹き飛んでしまった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加