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女子生徒からのひどい扱いに若干傷つきつつも、俺はめげずに学校へと歩を進めた。
自室の階から一階へ降り、外へ出ると、ひんやりとした朝独特の湿っぽい空気が頬をなでた。
西の空はまだ紺色だが、もうだいぶ明るくなってきている。
辺りを見回して目新しい景色を心に刻み、新鮮な空気を吸って心を入れ替えた俺は、学校へ向けて一歩を踏み出した。
が。
――ドンッ
ごふっ
「いたっ」
初日からやらかしてしまった。
俺はバランスを崩してよろめいたが、なんとか持ちこたえた。
目の前には、俺と同じ制服を着た精悍な少年が、訝しげに俺の様子を窺っていた。
「ご、ごめんなさいっ」
俺はとっさに頭を下げて謝罪した。
ここ数日の出来事のせいで魔導学校の生徒には畏怖に近い感情を抱いていたため、反射的に下手に出てしまったが、彼の制服につけられたバッジを見ると、同級生だということが分かった。
しかし今さらどうしようもないので、彼の言葉を待つことにした。
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