序章

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  1月の寒い日だった。 高等学校の受験当日の朝、俺は受験会場までの道のりを急いでいた。 俺は、優等生とか自負していたくせに、結構遅刻は多いほうだったのだ。 その日も、ちゃんと早めに寝たのだが、準備が遅れたりして結局家を出たのは間に合うギリギリの時間だった。 だから、俺は会場までひたすら走った。 そして、会場まであと少しという所で、大通りに飛び出してしまった俺は、二頭立ての馬車と出合い頭にぶつかってしまったのだ。 俺は、結構な速度で走っていた馬に吹っ飛ばされた。 強い衝撃を感じ、口の中に血の味が広がった。 前が見えず、息もできない中、俺はかろうじて宙を舞っているのだということを理解した。 そこからは記憶がない。
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