第二章

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  「ま、所詮噂だけどな。気になるようなこと言って悪かった。それより、早く教室行こうぜ。」 「ああ、そうだな。せっかく早めに来たから教室でゆっくりしとこうか。」 噂とやらが結構気になっていた俺だったが、靴箱の前で突っ立っているのもあれなので、セレスの言葉に従うことにした。 しかし、靴を靴箱に入れて上靴に履き替えたところで、俺はまだセレスに聞きたいことがあったことに気が付いた。 「あ、セレス。最後にひとつ聞きたいことがあるんだけど……」 「ん?なんだ?」 「いや、他の人は俺を冷たい目で見てくるのに、なんでセレスは普通に話してくれるのかな……って。」 そう。一番の疑問はこれだ。 セレスがあまりに自然に接してくれるので、今朝出会ったときに抱いた違和感を忘れかけていた。 俺の質問を聞いたセレスは、一瞬の間を置いて、それから目をそらしながら軽く笑った。 「ははっ、大したことじゃないよ。というかこれが人間として普通だと思うけどね。ほかの奴らがおかしいだけだよ。」 「……そう、か。なるほど、やっぱりこの学校の生徒は大半が普通じゃないよな。とりあえず、セレスが良識のある人間で助かったよ。」 セレスの答えを聞いた俺は、少しほっとした。
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