序章

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  ちなみに、フェッセルとはこの国、メイレア王国の首都で、国で唯一の魔導学校がその城下町にある。 魔導学校とは、魔法を学ぶための学校なのだが、なんせ魔法が使えるのは、代々魔法が使える数少ない家系に生まれた人か、万に一つの確率で偶然生まれた時から使える人かのどちらかしかしかいないので、極めて限られた人しか通えない。 つまり超エリート校なのだ。 そんな学校の教頭ともなれば、やはりそれ相応の高い社会的立場を持っている。 偶然とは言え、そんなお偉方の馬車に突っ込むなんて……ドジにもほどがある。 改めて自分の演じた失態の重大さを思い知り、悲しさと恥ずかしさで俺は俯いてしまった。 その時、母が前に出てきて俺に話しかけてきた。 相変わらず気まずい俺は、おずおずと顔を上げた。 「クロア、ちゃんとこの方にご挨拶しなさい。そして、この方からお話があるそうよ。」 母は、病室に入ってきた時と変わらず、心なしか決まりが悪そうな雰囲気だ。 というか話って何だ? 謝罪ならさっきしてたよな。
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