親の死

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ああ・・記憶が飛び飛びになっちゃってるんだ・・。 とにかく、炉の前から待合室に連れて行ました。 そこには、火葬を見守ってくれている親戚の方々が25名ほどおります。 そうするとね不思議なことに・・お茶を汲んだり、菓子を出したりと一生懸命お客様をもてなし始めるんですよ。 たまに笑ったりしながら、時間を過ごしておられました。 しかし、私はまだ注意を怠らず見てましたら 「ねえ、バウさん・・母のようになる人っているんですか?」 不意に、ゆりさんの娘さんに話しかけられました。 「そうですね・・多くはないですが、たまにいらっしゃいますよ。 本人がああやって笑っているときは、たぶん自分のお母さんが亡くなったってことを忘れているんでしょうね。。そしてふとした瞬間に思い出し泣き崩れ、また忘れて・・・の繰り返しになるかと思います。これを支えてあげられるのはお近くにいるあなた方だけなんです。ゆりさんのお母さんは亡くなった事、ゆりさんはしっかりと見送ったこと・・等事実をしっかりとお伝えしたほうがいいかと思います。ゆりさんが自ら事実を受け入れることが出来たときにこの状態はなくなると・・私はそう思います。」 ただ、私は心理士とかじゃないので断言はできませんが・・・と付け加え、皆様とこれからの対応を考えておりました。 私が一番心配していたのは、お骨上げの歳にお骨を見て現実に引き戻されパニックになるんじゃないかということでした。 パニックになって暴れるくらいならいいんです。 私たちでなだめればいいんですもの。 ただ、パニックになってまだ熱いままのお骨を触ったりして怪我をしてしまうんじゃないかって・・・ それが心配だったんです。
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