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「もう…顔を見せないように気を付ける…」
ようやく竜童がしぼり出せたのは、この言葉だった。
その言葉に要は一瞬目を見開き、すぐに大きなため息をついた。
「そこまでせんでもええし。確かに、前はイラッとしたりしたけどな、そんな泣きそうな顔しとる奴突き放す程でも無いし」
別に、竜童達に対する感情が消えた訳ではない。
しかし、いつまでも怒っているというのも面倒だった。
だから、要の中ではもう過ぎた事で、竜童達が歩み寄るならそれに答えるつもりではあった。
もともとの性格でもあるし、何より要には前世の記憶がある。
無意識に自分より年の若い者に甘くなっていた。
「また…会って良いのか?」
「本人がええって言いよんやけん、ええん。他のにも言うときなよ、会長」
その時、要はしょうがない…といった風に微笑んだ。
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