第2章

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その日は晴天だった。道行く人を眺めていると、薄茶色のチワワを散歩させていた人がいた。飼い主とお揃いのかわいいピンクのお洋服まで着ている。 このまま自分も、気の向くままに表参道から渋谷あたりにでも出かけようかと考えた。 「街を歩くのも久々だから、ちょっとウィンドウショッピングでもしようかしら?」 最後の一口、キッシュを食べ終わると、会計を済ませ、店を出た。 店員の女の子、粥川さんが帰り際にテーブル奥からニコッと会釈をした。 通りを歩き出した。季節は秋。紅葉した街路樹がひらひらと葉を落としている。 いつもはいろとりどりに紅葉した葉の方に気が向き、落葉が綺麗だと感じるのだが、今日は少し違った。 季節を先取りしたマネキンを横目で見ながら、 渋谷方面へと向かった。
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