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「もし、神主はん・・・」
「さっきから誰だ!姿を見せろ!」
「わ!藤原さん?どうしたんですか?」
突然叫びだした光流にゆき乃は目を丸くした。
光流には一つ目の何かが、ビルの隙間から霧のようにフワーっと出てきたのが見えた。
霧はみずぼらしい着物の男の姿になる。
「私は京都油小路二条上ルに住所があります、伊藤安次郎と申す者です」
男は風貌に似合わない丁寧な言葉使いで挨拶をした。
京都独特の語尾にアクセントを置いた話し方だった。
「お前!あ…あなたは降ってきた男の伊藤安次郎さんですか!?」
「左様でございますぅ」
焦る光流に伊藤安次郎は深々と頭を下げた。
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