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「…今日の夕日の降の大祓に祓へ給ひ清め給ふ事を諸々食せと宣る」
大祓詞を唱え終わると光流は刀を振り下ろすようにして、御幣で空を切った。
伊藤安次郎をその場に縛り付けていた因縁を絶ち切ったのだ。
「おおきに、おおきに…」
地縛から解かれた伊藤安次郎は、光流に手を合わせて涙を流した。
「幽霊に拝まれるとはな…」
「へ?幽霊!?」
何も見えていないゆき乃は、すっとんきょうな声を上げて、ビルの隙間の闇を見つめた。
「色んな説明は後だ!吉原神社に急ぐぞ!伊藤安次郎さんもついて来てください」
「憑いて参ります!」
「イヤ、憑くのは勘弁してください…」
気合い充分の伊藤安次郎の幽霊に光流は苦笑いした。
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