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陽が傾き始めたとはいえ、明るいうちに巨大化した金魚や伊藤安次郎の霊が現れたのは異常だ。
光流とゆき乃、そして伊藤安次郎の霊は美津の待つ吉原神社に駆け込んだ。
…しかし、美津の姿は無い。
小さな神社である吉原神社の境内は見回せば全貌を把握出来る。
祭壇を残し、美津は消えていた。
「美津さん!」
文句が多いものの光流の言葉に忠実な美津がいなくなった状況に、光流は焦って美津を大声で呼んだ。
「…藤原の!」
「は?」
頭上の声に光流とゆき乃は吉原神社の社殿を見上げる。
金色の大狐…お美津狐がトリミング台に乗せられた犬のように怯えて社殿の屋根に、うずくまっていた。
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