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「美津さん!ぐるしい…」
光流は力ずくで美津を引き離そうとする。
美津は名残惜しそうに身体を離したが、光流の背後の伊藤安次郎に気付いて唸り声を出した。
「がぅぅう…人間の霊がおる…」
「あ…」
ブルブル…
光流が振り向くと、伊藤安次郎は震えていた。
「狐や、九尾狐や。おそろしや、おそろしや…」
昔から狐は、荒ぶれば九尾の狐、和(な)ぎればお狐様になると信じられている。
伊藤安次郎は自分が幽霊であるにも関わらず、金狐から女性に変化した美津に怯えていた。
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