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おいらがまねして
「ぴよぴよぴよぴよ…」
と言うと アニキはとても喜んでくれた。
おいらは気を良くして それからはなるべく この呪文を言うようにしてるんだ。
アニキは《実家》に行く前に、このうるせぇ新入りにも 一生懸命呪文を教えていた。
こいつも、まじめに頑張って覚えてたよ。
ところがだ。
おいらの愛するおやじが、毎日ギター弾いてくれたのさ。
皆で大合唱してたら、すっかり忘れちまったんだな。
おいらはさ、アニキに世話んなって 長ぇから、しばらく会わなくたって ちゃんと呪文は覚えてる。
だけどこいつは 元々でけぇ声で騒ぎたい奴なんだ。
おやじのナイスなギターを えらく気に入っちまったわけさ。
毎ン日 ご機嫌で、歌って踊ってたもんなぁ。おいらもだけどさ。
そのおやじは アニキと入れ代わりに どっか出掛けちまった。
しばらく大合唱はおあずけだな。寂しいがしょうがねぇ。
さあ、アニキのために 特訓すんぞ。
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