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トーマスは跳ねるようにゲイリーの後方に動いた。ゲイリーは引き金を引く。金属棒を撃ち出す。すぐに銃身の上部が弾かれるように開かれ、弾丸を撃ち出す筒の部分が弾け飛んだ。赤くなっているそれは地面に転がった。
金属棒は敵の足元に飛んでいた。爆発が起こる。
『トーマス、頼む!』
『おうよ!』
パワードスーツが軽くオーバーヒートしているゲイリーを引っ張って走った。物陰に隠れる。金属片が建物の壁を抉っていた。
『ゾエ! メイリーは!?』
ゲイリーが訊く。返ってきたのは嗚咽混じりの声だった。
『そんな……』
ゲイリーは聞きながら敵の様子を見る。ライフルに新しい筒を付けながら。トーマスは呟く。
『内部装甲が……クッションを突き破って、全身に……。こんな……こんな……』
『クソッ!』
急にトーマスを引っ張り、ゲイリーが走り出した。トーマスが敵の居場所を見る。新型だけが、立っていた。レールガンをくらっても……。
『嘆いてる暇はない! ゾエ!! メイリーを置いて合流しろ! 一時撤退する!』
『でもっ……!』
『死にたいのか!?』
『あとで、戻ってくる……?』
『あぁ、約束する』
『わかった……』
三人は撤退しながら合流した。敵は追ってこない。
*
「あいつはどうして無事だったんだ?」
トーマスが疑問を口にする。それこそが最大の問題だ。散弾のように飛び散る鋭利な破片は全身を叩いただろう。それによってどうしても脆くなってしまう首や関節などは貫ける筈だ。そんな上手くはいかないと思うかもしれない。しかし、無数にあるのだ。小さな破片でも命取りになる。
ゲイリーも頭部装甲を脱ぐ。
「わからない。ただ、あれを破壊しないことには敵の殲滅はできない」
「レールガンを直接当てるとか?」
「上手くいくかは、疑問だな。やはり、レーザーカッターか……」
二人はトーマスを見る。レーザーカッターはトーマスしか装備していない。ゲイリーはレールガン、ゾエはオプションが無い。
「まさか、俺にもう一回突っ込めと言う?」
「トーマス、起死回生の手は貴方しか持っていないの」
「結局、やるしかないのか……?」
「なに、死んでも二階級特進だ」
「ゲイリー!」
ゾエが声を荒げる。
「……すまない。今のは忘れてくれ」
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