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『いや~、逃げた逃げた。フランス軍の配置はどうなってるんだ?』
イギリス兵の一人が地図を広げる。
『さっきの交戦場所から北に少し行った場所に一カ所。港に一カ所、まぁ、これは敵艦のついでに潰してきた。それと、この大通りに一カ所。最後にその付近の道に一カ所、集結地点がある』
『増援は無いのか?』
『増援は期待できない。だが、ここを占領されたら北アイルランドは裏からあっさり占領されちまう。だから、やるしかない』
『ロンメルもレイチェルもやられちまったんだぜ?』
『それでも、だな』
トーマスと呼ばれたイギリス兵はハッと気づいたように言う。
『そういえばメイリーとモリーは? まさか、やられたのか?』
『二人は別ルートを通ってこっちに向かっている』
ゲイリーと呼ばれたイギリス兵が続けて言う。
『俺はここで二人を待つ。お前たちは先に、敵を叩く』
『待てよ、お前一人で待つのかよ!?』
『お前は一人で持ちこたえられるか?』
『それは……』
『そういうことよ。私達は一人でここを死守することはできない。だから、ゲイリーが残るの』
先ほどゾエと呼ばれた女のイギリス兵が言った。それに対して、トーマスは未だに納得できていないのか、反論する。
『でも、三人で待った方がいい』
『それができれば、な』
『どういう意味だ?』
『敵に合流されれば、いくら第二世代を使っているとはいえ、こちらに勝算はない。敵が合流しないとも言い切れない以上、俺達は迅速に行動しなければならない』
『……わかった』
『それじゃあ、私達は先に行くから』
『あぁ、二人はちゃんと連れてくる』
ゾエは歩き始めた。トーマスもゾエの後を着いていくが、振り返る。
『死ぬなよ』
『まだ、死ぬ気はないさ。トーマス、俺がいない間は、お前がゾエを守れ。かすり傷でもついてたらぶん殴る』
『はいはい、わかりましたよ』
トーマスはゾエの所に走っていった。
『もう、第一派ですか』
ゲイリーは、二人の姿が見えなくなってから呟いた。その目は、好戦的だった。
『しかしこの少人数……。あまり、見くびらないでもらいたいなっ!!』
フランス兵が撃った一発を合図に戦闘が、開始された。
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