2317A.D.

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* 『ひょえー!』 トーマスが情けない声を出しながらライフルを撃つ。建物の陰から銃口が見えた。慌てて身を隠す。弾丸が壁を削った。 ゾエはそろそろ敵の後方から奇襲するはずなのだが、未だにその気配はない。 『急げよ……』 トーマスも再び撃つ。今度は、敵が物陰に隠れる。 ライフルがカカカカッと音を出す。 『弾切れっ!!』 慌てて身を隠す。敵の弾丸が横を通り抜けるが、気にせずに弾倉を取り替える。その時、センサーに友軍反応が出た。一だ。 『よし……』 トーマスは空になった弾倉を持つ。 『これでもくらいやがれ!』 一瞬だけ姿を表し、弾倉を投げた。敵の集中がそっちに行く。敵は弾倉を撃った。穴があいたそれはカラカラと音を立てて地面を滑った。 『空弾倉だと!? なめや――うわっ!!』 爆音と共に、敵が吹き飛ぶ。 『ナイスだ、ゾエ』 『まぁね、こんなもん朝飯前よ』 『言うなぁ……』 二人は合流する。 『ここは、これで終わりかな?』 『多分ね』 『よし、敵から奪える武器は奪うぞ』 『えぇ』 ゾエは賛同し、二人は敵の武器を物色し始めた。手榴弾や所持している武器に規格の合う弾薬などを入手し、その場を後にした。そろそろ一カ所目の敵集結地点だ。二人は歩いた。 できれば赤外線で敵の位置情報を調べたかったが、こうも火事が広範囲だと思うようにいかない。金属反応も無数にある。つまり、視界と音のみが頼りだ。 『二ブロック先を左。そこが敵集結地点よ』 『了解した』 トーマスは武器を構え直す。足音を忍ばせて進む。 『どう攻める?』 『やっぱり、奇襲でしょうね』 『なぁ、あの建物はなんだ?』 トーマスは先に見える、周囲より少し高い建物を指差した。 『教会ね。そこまで傷はなさそうだけど……どうしたの?』 『あれ、使えないか?』 * トーマスは落ちていた割れた鏡をそっと出す。角を曲がって少し歩いた場所にフランス兵が見える。 『今のところ警戒しているのは二人。多分反対側にもいるな。他は休んでいるか……』 『なるほどね。ざっと何人?』 『ざっと十五人はいるな』 『なら、そこまで問題はなさそうね』 『そっちは?』 『二階に着いたわ。バズーカの準備もできてる』 『了解した。それじゃあ、始めますか』 『オーケーよ』
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