2317A.D.

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敵は肩を震わせている。トーマスはその場を動かない。 『はやくしなさい!』 弾倉が床に落ちた音が響く。 『まだ、抵抗する気!?』 敵はゾエにも気を配りつつ動く。 『悪いが、俺は敵よりも怖いもんがあるんでね。その交渉に応じることはできない』 『なんですって!?』 トーマスの肉声を聞いた敵の怒りが伝わってくる。その時、入口で待機していたフランス兵が教会内に雪崩れ込む。 『マジかよ』 トーマスは呟く。 『こりゃ、腹をくくるしかないか』 室内にトーマスが入ってきた。すぐにフランス兵を見つけ、銃口を向ける。フランス兵もトーマスに銃口を向けていた。 『今の貴方は絶対的に不利よ。武器を捨てなさい』 『それはどうかな? 俺たちは、二人だけじゃないんだぜ?』 『なにっ!?』 『合流が思ったより早くて助かった』 下層から銃撃音が聞こえた。しかし、一つ、また一つと音が減る。そして、音は消えた。 『α、応答せよ! α!!』 トーマスは銃口を向けたまま歩み寄る。 『形勢逆転だ』 フランス兵は目の前の敵というより、十人以上いた仲間を殲滅した、見えない敵に恐怖した。トーマスの歩みに合わせて一歩ずつ下がる。 『そんなはずはない……。この私がやられることなど……』 背中に固い感覚。 『私のこと、忘れてない?』 バズーカが火をふいた。フランス兵は金属片を撒き散らしながら前方に吹き飛び、トーマスは慌てて避けた。グシャア!! とした音と共に倒れ、血が古い床を染めていった。
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