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『トーマス! ぶっ殺す!!』
『ま、待てゲイリー! ゾエは怪我してないだろ!!』
『それとこれとは話が別だ! ゾエをあんな危険な目にあわせやがって!』
ゲイリーはトーマスを羽交い締めにしながら言っていた。ゾエも、合流したメイリーもこちらを見ているものの、助けに来てくれない。
『だから、それに関しては本当に反省してるから! だめ! 関節技はだめだぁ!!』
『貴様、許さんっ! その関節、もらったぁ!!』
『はいはい、二人ともそこまで。ゲイリーも、トーマスが約束破ったわけじゃないのにそこまで責め立てるのはみっともないよ』
『うっ……』
流石ゾエ、ゲイリーはトーマスから離れる。
『いてて……。そう言えばモリーはどうした?』
メイリーは顔を背けてしまう。
『察しろ。俺が見捨ててここに来たとでも思うか?』
『悪い……』
トーマスは俯きながら謝る。流石のゲイリーも、悔しそうだった。
『次に行くぞ』
ゲイリーはそう言って歩き始めた。三人は慌てて後を追う。
次のポイントに向かいながら歩いている最中、ゲイリーには聞こえないよう、秘匿回線を使い、ゾエが話しかけてきた。メイリーにも繋がっている。
『なんかさ、今日のゲイリー、いつもとちがくない?』
『違うって、なにがだ?』
『いつもの彼じゃないのよ。我、ここにあらずって感じで。メイリーはそう思わない?』
『多分、三人も仲間が死んでしまったからではありませんか……?』
『違うのよね……。その前からだったから……』
ゾエはそう言うと、ゲイリーの所に歩いていった。今度はゲイリーにしか聞こえないようにしたようだ。彼女の身振りから話が引き出せないのはわかるが、どんなことを言っているかはわからない。
その時、トーマスはゲイリーのパワードスーツについている簡易ポケットのから少しだけ出ているディスクケースを見た。
『なぁ、ゲイリー。そのディスク、どうしたんだ?』
『ディスク?』
メイリーとゾエが言う。
『あぁ、これか。使えそうだったんで、拾っただけだ』
『ふ~ん』
それで話は終わってしまった。
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