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話をしていると、ふと健太は話題を変えた
「なあ、紗菜」
『ん、なぁに?』
「その…あの…」
なんだか歯切れが悪いな…どうしたんだろう?
目が泳いでる気が…
『もうっ、パパ勿体振らないで言ってよっ』
「お、驚かないで聞いてくれよ?」
『え?うん』
紗菜は突然の話に困惑しながらも健太の言葉を待つ
そして意を決して言った言葉は、紗菜を驚かせた
「実は…紗菜には男装して、俺のいる薄桜学園に転校してほしいんだ…」
沈黙が辺りを支配した
紗菜は父親の話を頭の中で整理した
言いたいことが分かった時、紗菜は声を上げた
『…Σえぇ!?わっ、私が男装して男子校に通うの?!』
「そうだ…叔母さん倒れてからいろいろ大変だろ?こっちに来た方がなんでも揃ってるし、俺の目の届くとこにいてほしいんだ…ダメか…?」
『…パパ…』
いまの今まで離れ離れに暮らしていた親子
離れてくらす娘のことが、父親は心配なのだ
きっと、この決断を下すのには相当の時間がかかっただろう
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