紅輝の瞳(ピジョンブラッド)

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夜 サラリーマン風の男が逃げていた。 「助けてくれぇぇ!」 後ろからタンクトップとジーンズとラフな格好をした男が歩いてきた。 「逃げんなよ」 男の右手は異形な形をしていた。色は赤黒く、血管が黒く浮かび上がり、大きさは人間の腕の十倍はあった。サラリーマン風の男の頭を掴む。 「い、命だけは…」 「やだね」 ぐしゃぐしゃと気味の悪い音がした…赤い何かがぐちゃりと落ちる。 「気持ちいいぜぇ…」 男は頭の無い死体の体を掴み、万力をかけるように潰す。 「こうじゃないとなぁ!殺人はよぉ!」 男の頭を何かが掠れた。 「?…!」 男は後ろを見る、木に大きな氷の針が刺さっていた。いきなり女性の声がした。 「御剣『デュランダル』のものです…あなたを確保します…抵抗すればこちらも手を選びませんのであしからず」 「御剣?あの世界的異能者管理組織か…」 「説明の必要はありませんでしたね」 通信が入ったのか携帯をとる。 『ボクが行く必要あります?』 「大丈夫」 『分かりました』 このとき月光が御剣の女性を照らした。黒い長髪の嵐山学園高等部二年生の雪村雅だった。
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