強姦

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神谷は大声で笑い出す。 どことなく結衣の笑い方に似ていた。 「やっぱり本当なんだ?ちょっと小耳に挟んだんだよ」 「私じゃない。そもそも、千紗は行方不明なんだけど」 私の言葉を聞いた神谷は、扉を片手で閉め、私の顔を見てにやりと笑う。 「中庭で叫んでいるのを聞いた」 「証拠がないわ」 「それがあるんだな。残念」 「…アンタの目的は何?訴えるなら訴えたらいいじゃない」 私はなるべく強気に出る。 「蓮も関わってんだよな?」 私の瞳が、揺れる。 「…お願い。蓮は…」 私はすがるようにして神谷を見つめる。 「…俺、美嘉のこと好きなんだよね」 神谷は勝ち誇った笑みで、私の顎を持ち上げた。 そのまま、強引に私の唇を奪う。 激しいキス。 蓮のキスはどこか優しいのに、神谷のキスはまるで、食らいつくようだ。 舌が唇の隙間から無理矢理入る。中から私を掻き乱す。 逃げようとする私を、無理矢理腕で押さえる。 離された時、私は肩で息をしていた。 神谷が私の顔を覗きこむ。 「なぁ…俺のお願い、聞いてくれるよな?」 返答はしない。その代わり、私は神谷をキッ、と睨み付ける。 「蓮がどうなってもいいのか?…俺のお願い、聞いてくれるよな?」 神谷の脅しに、私は眉をひそめながら渋々頷いた。 神谷は満足そうに、にっこりと微笑む。 「抱かせてよ」
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