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「抱かせて…?神谷、アンタやっぱり狂ってる」
私は神谷と距離をとる。
だが、神谷はいきなり私を抱き寄せた。
「狂ってる?俺はただ、美嘉を愛してるだけ」
いわくありげに笑う神谷を見て、背中に冷や汗が流れた。
「嫌…離して」
「蓮がどうなってもいいのか?」
「卑怯者…」
余裕の笑みを浮かべて、抱き寄せる神谷の顔を見上げて、私は睨み付ける。
「蓮ってさ、顔は結構いいけど、美嘉には釣り合わねぇよ」
神谷のその言葉に、私は思わず神谷の頬に平手打ちを食らわした。
「アンタに蓮の何が分かる。…蓮は、アンタとは違う」
神谷を鋭く睨んだが、神谷は笑みを崩さない。
「じゃあ聞くけど。美嘉は蓮の何を知ってる?別に好きでも何でもないんだろ」
「……」
“何を知ってる?…”
何も、知らない…。
そういえば、私…。
蓮のこと、何も知らない…。
ただ、私が知ろうとしなかっただけ…。
「答えられない感じ?なんだ、そんな関係」
神谷が嘲笑う。
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