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一方、佐乃宮と杉山は、ロゼンタの店の前で立ち詰めていた。
そして、校舎裏で見つけたネックレスの調査に身を乗り出していた。
「あのネックレスは、やはりロゼンタの新作でした。しかし、購入者が多すぎて絞れません」
杉山の言葉に、佐乃宮が眉をひそめる。
「なんとしても調べあげろ。俺の勘が正しければ、そのネックレスが全ての鍵を握っているんだ」
辺りに人通りが多く、ふたりは人波を避けるようにして道端に立つ。
「ですが佐乃宮警部、ひとつ気になる点が…」
「何だ、言ってみろ」
佐乃宮の言葉に頷いた杉山がメモをめくる。
「ロゼンタの店員の証言なのですが『一月ほど前に、高校の制服を着た男子生徒が、その蝶のネックレスを買い求めていった』そうです」
「高校生だと?」
「はい。調べたところ、その男は岡田 千紗と同じ高校に通う3年生で、佐伯 悠太、18歳。サッカー部所属のキャプテンで、家族構成は…」
佐乃宮が杉山の言葉を遮り、顎に手を当てる。
「同じ高校?確か、岡田 千紗はサッカー部のマネージャーだったな。接点はできた。さて、行くぞ」
そして佐乃宮は、思い立ったように歩き出した。
「何処へ?」
尋ねながら佐乃宮を追う杉山に対し、佐乃宮は厳しい視線を送る。
「佐伯 悠太の所だ」
恐れていた結果が、真実に近づいていく―――
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