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「み、か……?」
蓮は目を見開き、呆然としている。
「蓮、違うっ!!」
私はまるで言い訳するように、何度も叫んだ。
私に馬乗りになる神谷が、にやりと不気味に笑った。
「蓮、悪いけど、俺らこういう関係なんだわ」
神谷の言葉に、蓮は弾かれたように私達に近づく。
立ち上がって挑発的に笑った神谷を、蓮は勢いよく殴りつけた。
バキィッ
唐突な攻撃に、神谷は拍子抜けた顔をしていた。
床に尻餅をついて蓮を見上げる神谷を、蓮は鋭く睨み付ける。
「美嘉がテメェなんか相手にするかよ、この野郎!!」
神谷にそう吐き捨てると、蓮は手を引いて私を立ち上がらせた。
少し、安堵した。きっと私は、蓮との信頼関係を信じきれてなかったんだ。
私達は、屋上から去ろうとした。
だが、扉の手前で私は立ち止まる。
「神谷、悪いけど、私達こういう信頼関係だから。アンタの入り込む余地はないの」
私は振り返らず、神谷に言う。
「私はアンタの期待には答えられない…蓮が好きだから」
私の言葉に、蓮が過敏に反応した。不意に蓮と目が合う。
「私なんかより、いい女はいくらでもいるわ。例えば、いつまでもアンタを待ってくれている結衣とかね。幸せ者じゃない」
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