秘密

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「それ、どういう意味」 私は隣に腰かけた蓮を睨んだ。 「そのまんま。いっつもクールなのに、 …なんていうか、感情むき出しの顔してる」 蓮は、グラウンドの隅にいるふたりを見つめた。 「感情むき出し…?私が…?」 「なんかそんな感じがするんだよな。 千紗のこと、睨んでたし」 私の肩が、少しはねた。 「…美嘉ってさぁ、いっつも作り笑いばっかりしてるよなぁ」 ―…悠太先輩と同じ台詞…。 私は隣にいる蓮を見つめた。 「私ってそんなに、作り笑いばかり?」 口に出した途端、言葉に出来ない哀しみが込み上げた。 泣きそうな私を見てか、蓮はいきなりオドオドし出した。 「な、泣くなよ。俺が悪かったって。 …ちょっと、言い過ぎた。ごめん」 頭を下げる蓮を見てたら、 いきなり笑えてきた。 くす、と笑うと蓮が顔を上げる。 「あっ、嘘泣きかよ」 蓮は、何か嬉しかったのか、笑みを浮かべて私の頬をつついた。 「何よ。子供扱いしないでっ」 私がそう言うと、蓮はにっと笑った。 ふと、グラウンドの隅に目をやると…、 私は息を飲む。 千紗と悠太先輩の…ふたりの空気がただごとではなかった。 悠太先輩が真っ赤になって、千紗に何か喋りかけていた。 初々しい二人の様子から、告白している所だと分かった。 その後、千紗が頭を下げる。 悠太先輩の表情からして、 …きっと、フラれたのだろう。 私は絶句した。 「悠太先輩が…作り笑い…してる」
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