秘密

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流れで私達は、二人同時に教室に入る。 「…あ。美嘉ちゃんだ」 クラスの男子の一人が声をあげる。 すると、皆が私に駆け寄り、 声を掛けてきた。 …ただし、男子だけ。 「相沢さん、おはよう」 「いい天気だよね」 ―…下心丸見えだし。 私はその人達の間をすり抜け、机に座る。 蓮は自分の席ではないのに私の前の席に座り、 体を後ろへ持っていった。 そして。 私に声を掛けてきた。 「いっつも思うけどさぁ、美嘉って女子に嫌われてんのか?」 私は、目の前にいる単刀直入な男を、冷たく睨んだ。 「…そうだけど」 私がそう言うと、蓮は、ふーん、と呟いた。 「…だってお前、カップル壊すの上手いもんな。 嫌われるの、当たり前か」 「…何が言いたいの」 「つまりは、モテるってこと。 誉めてんだよ。嬉しくねぇの?」 「……別に」 「なんだよ。可愛くねぇなぁ」 蓮は私の頭を、わしゃわしゃと掻く。 せっかく巻いたのに、少し崩れてしまった。 「…何すんのよ」 私が冷たく睨むと、蓮は手を引っ込めた。 「…なんだよ。 さっきまで、ノリ良かったのに」 「…意味不明」
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