秘密

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「…今更、何」 「…美嘉、怒ってるよね?」 「……」 「ごめんね、ごめんね。悠太先輩のことは、そういうつもりじゃなかったし、 ちゃんと断ったから…美嘉に返す」 必死に謝る千紗を見て私は、 許そう、とは考えてなかった。 ―…何この子。 そういうつもりじゃなかった? ちゃんと断った? 返す? 千紗に悪気がないのは分かっていた。 千紗が本当に申し訳ないのと思ってるのも知ってる。 ―…けれど。 私は、いつの間にか着いていた校舎裏で、 隣にいる千紗の首を…締めた。 段ボールが派手に転がり、中身がぶちまかれた。 「…美嘉?何の冗談…?」 私の行動に、千紗が笑った。 私は目を細める。 「…どうして、悠太先輩の想いを否定したのよ」 私がそういうと、千紗が目を見開いた。 「…そういうつもりじゃな…っ」 そう言う千紗の首を握る手に、更に力を入れて、 千紗を黙らせた。 千紗が、苦し気に呻く。 「やめ…っ」 「…悠太先輩は、アンタに本気だったのに。 私はいつも二人といたから、分かる」 千紗は私になおも歯向かい、抵抗した。 暴れて、私の足を蹴る。 驚いた私は、千紗と共に前のめりになって地面に倒れこみ、 千紗の首を絞めながら、千紗に馬乗りになる。 ギリギリと、絞める手に力をこめる。 千紗は最後、何故か抵抗しなかった。 しばらくその状態でいると、 千紗はそのまま、動かなくなった。 私はそっと両手を離す。 千紗は何も言わず、地面に横たわっていた。 私はむくりと起き上がり、地面に仰向けになって泡をふく千紗を、 虚ろな目で見つめた。
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