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『絶対に守る』
あの言葉に嘘はない。
俺はずっと、ある女に恋をしていた。
その女の名前は…
…これを言ってしまうと、その女が笑うので、あえて言わないことにしよう。
その女は、俺が見たことないくらいの美人で、
糞生意気だった。
スッゲームカつくぐらい、性格の悪い女だったけど、
たまに見せる優しさが、
俺の心を揺らした。
そう、あれは高校一年の5月…―――
‡‡‡‡‡‡‡‡
「…やっべぇ。数学の宿題、忘れた」
俺は授業の始まるチャイムと同時に頭を抱えた。
「誰か答え教えてくれよ。俺、今日当たるんだけど」
授業が始まったというのに、
クラスの女子が俺の顔を見て、
頬を紅く染めながら、離れた席から俺のもとへとわざわざ駆け寄ろうとした。
だが、女子達は先生に睨まれて、
その先生を睨み返しながらしぶしぶ席に着いた。
俺が、どうしようかと迷っていると、
隣の席の女が、俺を見て嘲笑った。
「…ザマミロ」
「…は?」
俺は思わず、眉をひそめた。
「…何だよ」
「今日当てられるところ、難しくないのに。それでも、全国模試1位?」
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