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「それがどうした」
「私は5位だったのに。
アンタ、それでも解けないの?」
女は、にやりと笑った。
カチンときた。
「…やってやろうじゃねぇか」
机の上に置かれた俺の拳が、怒りに震える。
「でも、宿題の問題集ごと忘れたんでしょ?
当てられても、出来ないわ」
「……」
俺が黙りこむと、女は頬杖をつき、ため息をつく。
そして、
女は、自分の問題集を、俺の机に放り投げた。
「…貸してあげる。ただし、私は問題解いてないけど」
パラパラと宿題のページを開くと、
確かにそこの問題には何一つ手がつけられてなかった。
「…何なんだよ、お前。
嫌味言ったり、嘲笑ったり」
俺は、ため息をはいた。
「…ただ、私の上を行く人間がどれほどのものか、見ておきたかっただけ。
…あと、お礼の一つも言いなさいよ」
女が、ふっと柔らかく微笑んだ。
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