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「ふん。こんなん難しくも何ともねぇよ」
俺は、紅くなった顔を隠すようにして、ばっと黒板の方を向いた。
戸惑った。
―…何でだ?
こんな生意気な女に…、
ドキドキするなんて…。
こいつの微笑みが、予想外に綺麗だったからかもしれない。
…ホント、何なんだお前。
俺は先生に当てられた問題を難なく解き、
周りの「おーっ」という歓声を浴びながら、席についた。
皆、俺を見ているのに…。
どうして、この女は俺を見ていない?
俺の…全国模試1位の凄さを見たかったんじゃないのか?
その女は、俺が問題を解いてもずっと頬杖をついて窓の外を見ていた。
俺は、むしゃくしゃして、苛々して、
ただ、
その女に対して、
よく分からない感情をぶつけていた。
気付いた時には、
もう、
好きになっていたのかもしれない。
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