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翌日
HRの途中、学校に暗い校内放送が流れた。
『校長から、お知らせします』
私は真後ろの…千紗の席を振り返った。
そこには、誰も座っていなかった。
…当たり前か。
千紗は私が殺したのだから。
『…コホン』
校長がわざとらしく咳払いをする。
『えー…。
昨日から、2ーA 岡田 千紗さんが行方不明となっております。
行方不明扱いとして、警察へ届けを出しているのですが、
昨夜から家に帰っていないそうで、今日も学校を欠席しております。
千紗さんの行方について、何らかの情報を知っている方は直ぐに担任へ報告をして下さい。
校長からのお知らせでした…―――』
放送が終了すると同時に、学校中が騒がしくなった。
勿論、私のクラスなど当然だ。
クラスメイトの中に、行方不明者が出たのだから。
「行方不明だってー」
「千紗ちゃんが休んでいるのって、それが原因なんだぁ」
「てゆか一日で行方不明って、おかしくない?」
「昨日はいたのにねぇ」
ほぼ、好奇だ。
私はフン、と鼻で笑った。
所詮、人間の言う『絆』とは、『仲間』とはこんなもの。
口だけなら、いくらだって心配出来る。
その人の本心など分からない。
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