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「好き。先輩は私の運命の人だから」
私は躊躇いもなく即答した。
「何で分かる?」
蓮が鼻で笑った。
「笑わないでよね、直感よ。確かに感じたの。運命の人に出逢ったって」
「…その感じ、分かるかも」
蓮が鼻の下を擦った。
「…蓮は誰だったの?」
私は蓮を横目で見た。
寒くて、手が悴む。
12月の空気が冷たくて、私は顔をしかめた。
吐く息が白い。
「…」
「蓮の運命の人って、誰よ」
「…教えねぇし」
蓮は言いながら、自分の首に巻かれた黒いマフラーを外した。
「馬鹿じゃないの。外したら寒いのに」
私はふん、と鼻で笑った。
「俺は寒くねぇよ。寒いのは美嘉だろ。さっきからずっと震えてる」
蓮はそう言って、マフラーを私の首に巻いた。
「あ、りがと…」
私は驚いて目を見開く。
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