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「気持ち悪い。蓮が優しいなんて」
自分の頬が紅い気がするのは、寒さのせい…。
私は蓮から顔を逸らした。
「ひでぇな。…でも、初めてだよな。美嘉が俺にお礼言うのってさ」
蓮は屈託のない笑顔で、白い歯を見せて、にっと笑った。
「…そうだっけ」
「そうだっつの」
「あんた、よく覚えてるわね」
そう言って、蓮を見上げると、
微かに蓮の肩が震えているのが分かった。
寒いの…?
…私にマフラー貸したくせに。
やせ我慢してるのね。
蓮のことだから、マフラー返そうとすると私が遠慮してると思って、
きっと「要らねぇ」って言うんでしょう。
「…」
私は黙って蓮に寄り添った。
「美嘉…?」
蓮が顔を紅くして、私の顔を覗きこんだ。
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