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私は思わず走り出した。
「おいッ!!美嘉ッ!!どこ行くんだよ!!」
蓮の叫び声と共に聞こえる蓮の足音。
私は必死で走り、道を上手く利用して蓮を撒いた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
私は袖で額の汗を拭って、
周りを見渡した。
来たのは海辺。
白い砂浜が手前に広がり、
奥には退いては押し寄せる波が更に広がっている。
私は波の側まで近寄ると、ローファーを脱ぎ、横に丁寧に揃えた。
「ねぇ…、
死んだら楽になる…?
お父さんにも、殴られないですむ…?
そもそも…
私は産まれちゃいけない子だった…?
生きてちゃいけない子だった…?
大丈夫…
私が死んでも誰も泣かないから…
誰も…」
私は放心状態になって、海の中をゆっくり進んで行った。
「…私に理解者がいてくれたら…」
私の頬に、涙が伝う。
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